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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
「あっ……」
やはり、菊野は慌てている。
今、二人きりの保健室のベッドで俺に抱き締められて、如何に危険な状況かに漸く気付いたようだ。
この女(ひと)の迂闊で無防備な処は、どうにかならないのか、と思う。
悟志が彼女を大事に守っていた気持ちが良く分かった。
それ程、菊野は頼りなげで危なっかしい。
だが――
そんな処も堪らなく可愛くて、愛しい。
唐突に熱い感情が込み上げ、彼女をきつく抱き締めた。
「んっ……い……痛い……」
彼女が苦し気に声を漏らすが、尚腕に力を込めてしまう。
「菊野さん……
好きです……」
「――っ」
彼女が息を呑む気配を胸の中で感じた。