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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
「俺は……貴女が……好きです」
自分の声が上擦るのが分かる。
端から聴いていたら、さぞや間抜けなのだろう。
だが、そんな事を気にする猶予も、余裕も俺には無い。
ここは学校の一室で、扉には鍵も掛かっていない。
いつ、誰がやって来てしまうかも知れない。
不意に訪れた、刹那の二人だけの瞬間(とき)を、無駄にしたくなかった。
貴女は決して俺に振り向かないだろう。
貴女からしたら、俺は女の扱いも、抱き方も悦ばせ方も知らない、社会的にも何の力も無い子供だ。
悟志という立派な夫の居る貴女を、俺の物にする事は出来ない。
けれど、ほんの僅かだけでも、その心に楔(くさび)を打ち込み、消えない痕を残したい――