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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
菊野の瞳から、次から次へと涙が満ちては溢れ落ちて、その頬を濡らし、震える唇から漏れる言葉が、声が、俺を際限無く恋に夢中にさせる。
「つ……よしさ……
だ……ダメよ」
「ダメかどうかは、俺が決める事です」
「――ダメに決まってるじゃないっ」
菊野は、俺の胸を弱々しい力で叩くが、しがみつくかの様に、背中に腕を廻して来た。
「――……っ」
俺は、思わぬ彼女の仕草に撃ち抜かれ、絶句する。
「ごめんなさい……」
絞り出す様に、胸の中で彼女が言う。
「……菊野さん」
「私……
私、貴方を西本の家で引き取って……
貴方を幸せに出来る、て思っていたの……
でも――」
菊野はそこで言葉を詰まらせ、しゃくり上げる。