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愛しては、ならない
第23章 滅ぼせない恋情②
俺は、思わず笑う。
「……何故謝るんですか」
菊野は、痛みを堪えるかの様に顔を歪め、尚も言った。
「私は……
貴方を欲しくて、無理矢理この家に連れてきた……
でも、それは貴方を苦しめてるだけじゃないの……?
貴方を幸せに、笑顔にしたかったの……
けど……」
「菊野さん」
俺は彼女の言葉を遮り、その唇に指で触れた。
触れた途端、その頬がまた鮮やかに染まる。
――何故、そんな風に頬を染める?
何故、そんなに甘く瞳を潤ませて俺を見たりするんだ?
俺を、何とも思って居ないのなら、何故?――
そんな疑問が喉まで出掛かるが、今は呑み込んだ。
それより他に、彼女に確かめたい事がある。
俺はゆっくりと、尋ねた。
「今でも、俺を、欲しいと思いますか……」