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愛しては、ならない
第4章 ボーイ・ミーツ・ガール
それから、両親が行為を始めた時には剛は隣の部屋へ閉じ籠り、たったひとつ与えられていた玩具のピアノと戯れて、獣の様な声をピアノの音で掻き消した。
今でも、ピアノを弾く度にあの声が甦ってしまう。
どんな和音を弾いても、美しいメロディーを奏でても、鼓膜に焼き付いて離れない呪い。
自分がピアノを弾くのは、いつかそれを消し去れるかも知れない、と思うからだろうか。
整然と畳まれた白いシャツをぼんやり眺めて居ると、園長が部屋へ入って来た。
「綾波君、出来たかい?」
「はい」
「悪いけど、お客さんに服を持っていってくれないかな?」
「あ……はい」
剛は園長の後に付いて歩く。