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愛しては、ならない
第25章 離したくない
ボタンを全て外し、ベッドへと上がると、菊野は逃げるように後ずさるが、逃げられるわけがないのだ。


「あっ」



彼女を再び押し倒すと、小さく叫び、哀願するように見詰められたが、俺の我慢は限界だった。


今まで何度もその唇を奪い身体に触れて愛を囁き、だが、繋がる事は叶わなかった。


彼女が悟志に貫かれ甘く喘ぐ姿を思い出し、この腕の中で溜め息を漏らした記憶を辿りながら、自らを慰めて欲を放っていた。


その度にとてつもない快感に震えながら、同時に虚しくて堪らず、彼女を思って自慰に耽った後は死にたくなるほどの自己嫌悪に陥った。



ーーもう、こんなことはいけない。



そう思いながらも、菊野の声を耳にする度に、姿を目に映して、髪の薫りを感じると、正気で居られなくなる。



一体、どうしたら良いと言うのか。



彼女を愛する事が罪になると云うなら、何故俺の身体は云うことを聞いてくれないのだ?



触れてはいけない、愛してはならない、と自分に言い聞かせても、鎮まる処かこの恋情と欲情は業火の如く身を焼くばかりだ。



 
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