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愛しては、ならない
第4章 ボーイ・ミーツ・ガール
「それに……その絵本ですけど……
僕には感動的な話には思えません」
「えっ……」
「貧しい両親が、口減らしに魔女に子供を売り飛ばした……としか見えないですよ」
その人の目が大きく揺れた。
「あのまま、貧しいままで生かさず、殺さずの状態でいるより、死んだ方が双子の為だったんでしょうね」
息を呑む気配がした瞬間、剛は頬を打たれていた。
拳を握り締め、唇を噛み、涙を貯めた目で剛を睨んでいる。
「……ひど……酷い……ジョンとマルコは……そんなっ……」
「……っ」
呆気に取られる剛の前で、その人は泣き崩れてしまった。
ドアが開いて園長が目を丸くする。
「西本さん?どうされましたか?」