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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない

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「――っ」
アラームが鳴ったような気がして弾かれた様に目を覚ましてスマホを見たが、零時少し前の時刻を表示している。
一瞬目を瞑っていただけのような感覚しかなくて、もう夜中になってしまっている事実に呆然とする。
「私ったら……お化粧も落とさないまま寝ちゃった……」
今からでもシャワーで身体を洗おう。
パジャマを用意してバスルームへ向かう途中、つい二階の様子を窺ってしまう。
剛はもう眠っただろうか?
今日は、彼が帰って来てから、話をしていない。
祐樹が、学校での出来事、昨日花野とお喋りした内容等を休みなく私と剛に聞かせていたから、話す暇も無かったと言えばそうだが、
剛の目を見るのが怖くて、顔をまともに合わせていない。
きっと不審に思っているに違いない。
(嫌われてしまったらどうしよう…)
熱いシャワーを顔から浴びながら、涙が滲んだ。
(馬鹿ね……
この期に及んで、彼に嫌われたくないだとか……
寧ろ、それで丁度いいくらいなのに…)

