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愛しては、ならない
第31章 企み
俺は、菊野の前に立ちはだかり、男を静かに威嚇するように低く言った。
「――別に、なんだっていいだろう」
「剛さん……」
菊野が、俺の手を握りたしなめる様に上目遣いで見詰めてくる。
「何かこいつにされなかったか?」
頭に血が昇った俺は、男ににじり寄る。
「な……なんですかこの子は」
男は、鼻白みながら菊野の方を見る。
カッとなり、そいつの胸ぐらを掴もうと手を伸ばした時、菊野の放った一言に身体が硬直する。
「私の、息子なの……
心配性なのよ……」