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愛しては、ならない
第2章 十年振りのバースデーカード
大盛況の内にクレッシェンドの出番は終わり、歓声を浴びながらメンバーがテントへ戻って来た。
祐樹は頭にタオルをかけたままキラキラした笑顔を向けてきた。
「どうだ綾波!掴みはオッケー?」
「まあまあだな」
「え~!綾ちゃん厳しいなっ!」
ギターの神田亮介(かんだりょうすけ)が不満げに口を尖らせた。
「……眠……」
ベースの野村大(のむらひろし)は無造作にシャツを脱ぎ捨て、新しいシャツを掴み着ようとしたが力尽きて椅子に崩れ落ち寝てしまった。
「あ――っトップって緊張――!
もう二度と嫌だよ~!」
ドラムの根本三広(ねもと みつひろ)は茶色のマッシュヘアーをサラサラ揺らしながらやって来てビールを一気に飲んだ。