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愛しては、ならない
第2章 十年振りのバースデーカード




「じゃあ、大トリの方が良かったのか?あん?」


三広の小さな頭を掴んでグリグリやると、くすぐったそうにコロコロ笑う。



「あははっ……止めてよ綾ちゃんっ」



ステージではスタッフが飛び回り次のバンドの演奏の準備をしている。



「そうだ……次は"colorful bright"の番じゃんか!……俺、こっそり見てこよ!」



祐樹は目を輝かせると、スタッフが止めるのを振り切って大判のバスタオルを被り走っていってしまった。



(全く、鉄砲玉みたいな奴だな)



俺が苦笑していると、女性スタッフが発泡スチロールの保冷ボックスを手にやって来た。


「あの……これ、御家族の方から、綾波さんにだそうです」



「俺に?……家族って」



スチロールの箱を開封すると、中に入っていたのはホールのチーズケーキだった。


ピンクのバタークリームでバラの花のデコレーションが施されている。


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