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愛しては、ならない
第32章 企み②
私は、その様子を苦笑いで見ながら森本の言った事を頭の中で反芻し、どうすべきなのか考えていた。
剛にもしこの事を話したら――何と言うだろうか。
彼に思うように身体に触れられて、脅された事を――
ひょっとしたら、彼と最後の一線まで越えたのかと思われてしまうかもしれない。
そんな誤解をされるのは嫌だ。
ここまで考えて、私は自分の愚かさに笑いだしたくなった。
誤解されたくないって?
剛との事を早く終わらせなければ、等と悩んでいるのに、何故誤解を恐れるのか。
私と剛の関係は、あってはならないことではないか。
でも私は自分の中の恋情に負けて、彼に何もかも許して……
彼に押し切られた形ではあるけれど、それを私は心の奥底で望んでいたではないか。
悟志や真歩に罪悪感を持ちながら、結局は剛とまだ愛し合いたい、と思っている。
だから、森本との事を知られたくないのだ。
この期に及んで私は剛に嫌われたくないと思っている。