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愛しては、ならない
第5章 戸惑いの始まり
「真歩が水を向けたんじゃないのっ!もう~!」
フォークで茶色のスポンジをつつくと、どろりと甘い匂いを立てて熱いチョコレートが流れ出る。
口に含むと甘さの中にほんの少しの苦さが残る。
「でもさ……
流れるまま、のほほんとしてきた菊野が、初めて今養子の事で頑張ってるじゃない」
「うん……そうだね」
剛の、柔らかい中にも踏み込ませない雰囲気の笑顔を思い出して、悲壮な溜め息を吐いてしまった。
生まれて初めて自分から思い立って行動したは良いが、無理だったのだろうか。
そもそも普通に育った子ではないし……
「菊野っ!
何を情けない顔をしてるのよ!
反対してた悟志さんを説得した時の情熱を思い出しなさい!」
「……う、うん……」