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愛しては、ならない
第33章 壊れるほどに
フローリングに直に頭をぶつけた私は、痛くて顔をしかめて真歩の背中を擦った。
「真歩、本当に飲み過ぎだってば……」
「さとしひゃん……ひっく」
真歩はいつの間にかしゃくりあげている。
私は絶句して真歩の言葉を聞きながら、背中を撫でるしかなかった。
「さとひしゃんがいにゃいと……さみひ……ひっ……」
「うん……うん」
「はやく……おきで……もろっれきれ……」
「――うん」
「すう……」
受け止めている身体が重くなった瞬間、真歩は眠りに落ちていた。
剛がピアノの蓋を閉じ、こちらに歩いてやって来て、真歩を抱き上げた。
「真歩……」
「ふ~ん……さろひひゃん……も一杯のまへて……」
彼女の目尻には涙が光っていた。
胸が詰まって俯く私に剛が声をかける。
「真歩さん、何処へ寝かせます?」
「あ……そうね……私の寝室へ……」
剛は頷くと、真歩を抱えて部屋へ向かった。