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愛しては、ならない
第33章 壊れるほどに
その凛とした後ろ姿がドアの向こうに消えるのを見送り、リビングのテーブルの上の茶器や散乱した缶を拾い片す。
バレンタインデーから今日までに起きた出来事を胸の中で反芻しながら。
剛に想いを告げられ……悟志が私の気持ちに気付いて……そして倒れて……剛と身体を重ねて……
色んな事があった。
彼と想いが通じあっても、ときめきと同じかそれ以上に苦い想いを味わっている。
私は、今まで何も知らなかった。
人を好きになるという事がどんなに自分を幸せに、そして貪欲にして、時に身を裂かれるような痛みを伴うのかを。
私が剛を想うように、悟志も私を想っていたのだろうか。
そして真歩も、そんな想いをずっと秘めていた……
眠り続ける悟志は、私を許すだろうか。
私の裏切りに傷付いて憤って、悟志は意識を閉じたのだろうか?