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愛しては、ならない
第35章 Love is……
「……菊野……?」
低い呟きが後ろで聞こえ、私は全身を震わせてしまう。
ギシリ、とベッドが軋む音がして、彼の気配をうなじに感じ取った瞬間(とき)には、私は後ろから抱きすくめられていた。
最初は優しく包む様だったその腕は、次第に強く私の身体を抱き締める。
彼から逃げる事も出来ず、私は瞼を閉じて甘い抱擁に酔っていた。
声を聞いて、触れられた途端に先程までの決意は跡形もなく崩れてしまう。
(――こんなんじゃ……いけないのに……)
剛の腕の力が緩み、私は身体をくるり、と回されて彼の方を向かせられた。
優しい光が、彼の瞳に宿っている。
「……ずっと起きていたの?」