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愛しては、ならない
第5章 戸惑いの始まり
「あは……そうだよね……」
鍋の蓋を開けると、美味しそうな匂いに頬が緩む。
「なんだか急にお腹空いたかも……
いただきます」
「食べさせてあげるよ」
「大丈夫!子供じゃないんだから……ふふ」
スプーンで炊けたお粥を掬うと溶き卵の黄色がトロリと崩れて湯気が立ち昇る。
「卵を入れるなんて、悟志さんよく思い付いたね?」
「菊野が前に作ってくれたのを思い出しながらやってみたんだ」
お粥を口に運ぶと、私は悟志に頷いた。
「美味しい……
凄いね……初めて作ったのに」
「そうか?
良かった……」
彼が目尻を下げてガッツポーズをする姿に、また自分の父親を重ねて見てしまう。