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愛しては、ならない
第37章 愛憎②
自分の身体を庇うように腕で抱き締める私を、彼は苦笑して見詰める。
「菊野さんの方から連絡くれたのに……そんなに怯えるなんて……可笑しいですね」
「……っ……私は……なにをすれば……いいの」
毅然とするつもりが、情けない事に私はすっかり彼に呑まれ、肉食獣を前にした小さなウサギのように小さくなって震えている。
こんな気弱で、剛を守る事が出来るのだろうか?
今まで守られてばかりで、のほほんと生きてきた自分が悔やまれて仕方がない。
こんな時、どうしたら良いのか、私には全く分からない。
流れに任せる事も、抗う術も分からない。
自分の愚かさ、浅はかさに涙が込み上げてくる。