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愛しては、ならない
第37章 愛憎②
「どうぞ」
彼に華奢なデザインのカップを差し出されて、おずおずと受け取ると、良い香りにホッとする。
彼もまた隣に腰掛け、優雅な仕草でカップを口に運んだ。
「――おうちの人は……?」
私の質問に、彼は面白く無さそうに素っ気なく首を振っただけだった。
まずい事を聞いたのかも知れない、と私は身体を固くして紅茶を啜るが、その熱さに思わず声を上げる。
「――あっち……」
「大丈夫?」
彼が私の手からカップを取り上げテーブルに置くと、ソファの背を掴み身を乗り出して私の唇を塞いだ。