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愛しては、ならない
第38章 愛憎③
耳を疑い、思わず聞き返す。
「……なんて?……菊野」
「触れないで……触れないで」
彼女は震えるか細い声で拒絶の言葉を繰り返す。
何秒か経って、ようやくその言葉の意味が頭に入って来ると、今度はそれを否定したくなる思いが込み上げてきた。
触れないで、だって?
貴女がそう言ったのか?
今、貴女が俺に?
昨夜、あんなに烈しく求めてきたじゃないか。
俺に、抱いて欲しいと、愛していると言ったじゃないか――
「菊野……!」
「いやっ……離して――!」
俺は、気が付けば彼女を椅子から引き摺り降ろし床に押し倒していた。