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愛しては、ならない
第38章 愛憎③
「ママに何をしてるんだよ!!」
祐樹は小さいながらも、自分の大切な女を守ろうとする気持ちから生まれる迫力をその全身から放っていた。
庇うように菊野の前に立ちはだかり、俺を鋭い目で睨み付ける。
菊野が祐樹の手を握り、無理矢理作った笑顔でとりなす。
「祐ちゃん、何でもないの。
ちょっとだけ、喧嘩……しちゃっただけ……だから」
「何でもなくないじゃん!泣いてるじゃん!
剛が泣かせたんだろ?」
祐樹は一際鋭い眼光で俺を見て、迷わずに脚を振り上げ俺の腹を蹴った。
「くっ……」
避けずに祐樹の蹴りをまともに受けたが、意外に強力な威力だった。
俺は立っていられずに側にあるソファの背に掴まった。
「祐ちゃん!やめて!」
「ママ、何で庇うのさ!
ママを泣かせたのに!」
菊野は、俺に掴みかかろうとする祐樹を羽交い締めにして必死に止めようとしたが、突然彼から手を離してその場にへたりこんだ。