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愛しては、ならない
第38章 愛憎③
俺は拭きあげた皿を、キッチンの収納に一枚一枚静かに重ねてしまいながら思わず息を詰めていた。
祐樹の鋭い視線を背中に感じながら、彼の言葉を聞く。
「最近、ママの様子が変だから心配なんだよ。
凄く楽しそうにしてたかと思うと急に泣きそうな顔してたり……
夜中に寝室から泣いてる声がたま――にするしさ」
「――」
寝室、という単語に思わず俺は皿を落としそうになる。
寝室――夜中に――
まさか、俺が彼女を抱いている時の声の事では無いだろうか?
祐樹の表情は、純粋に母親を心配する子供のもので、俺にかまをかけている風には見えないが――
「剛、お前、最近のママを見て何も気がつかなかったのかよ」
祐樹は、布巾をこちらに向かって投げ付けてきた。