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愛しては、ならない
第38章 愛憎③
――愛してるわ……
腕の中で聞いた甘い声が、ずっとこびりついて離れないのに。
あの言葉は何だったのか。
実の親にも愛されず、誰にも愛されず、誰も愛さずにいた俺に、愛する事を植え付けたのは貴女だ。
それが世間のモラルに反する事だとしても、愛する気持ちは止められないのだと、そう教えたのは貴女ではないのか。
俺の物になり得ないことも、いつか愛が終わる事も分かっていた。
物事には必ず終わりがある。
いつ終わるとも知れなかった、あの幼い頃の日々が両親の死で終わったように。
だが、こんな風に突然冷めてしまう愛だったのか?
こんなに早く俺を放り出すつもりだったなら、何故俺に身を任せた?
何故、好きだと、愛していると告げたりしたんだ――