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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
ただ、彼は一言も二言も余分な事を言い返してしまったのだ。
『確かに僕には母親が居ないさ。けど家の事をちゃんとやってくれる家政婦さんが居るし、それに皆仕事でプロだしさ、手を抜かないよ?
義務感で嫌々やってる実の母親よりも大分ましじゃないのかなあ。
それに母親が居なくたって、経済的にも生活的にも不自由してないし。
僕が成績を落とさないのは父親の会社を継ぐためにそれ相応の学校へ入る為さ。
僕の何をもってかわいそうと思うのか知らないけど、僕からすれば君の方が余程かわいそうで滑稽だね』
からかった同級生は、最初呆気に取られたように目を丸くしたが、やがて顔が青ざめ唇を震わせ、その目に涙を矯めて叫びながら飛び掛かってきた。