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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
そういう訳で、頬に傷を作って帰ってきた森本を見て、彼女は大層驚き、そして怒りに震えて怒鳴った。
『お母さんが居ないのは彰君にはどうしようもない事だし、だいいち彰くんは何も悪くないじゃない!!
そんな事をからかうなんて最低!!』
何故僕が怒られるんだ、と疑問に思いながら彼は彼女を宥めた。
『いや、別に僕傷ついてないし、殴られた割りには怪我も大したことないから』
実際は、泣きながら森本を殴っていたあの同級生の方が心にダメージを負っているのではないか。
森本の放った言葉の中に、彼の心を抉る何かがあったのだろう。
宥めても彼女の怒りは収まらず、ついには森本に説教の矛先が向いた。
『彰君も何故そんな平気な顔してるの!』
『え、ええ?』
『もっと感情をバンバン出しなさいよ!こんなの普通じゃないわよ――!』
『そんなこと言われても』