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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
彼女と彼は、毎日のように身体を重ねあった。
殆ど帰ってこない父に知られる恐れはほぼなかった。
彼女は十代の頃に子供を産んだが、育てる事を両親に猛反対され、里子に出されてしまったらしい。
自分の子供が今どうしているのかも全く分からないらしく、時々『無性に泣きたくなる』のだそうだ。
森本が母親の事を恋しがらないのを見て、自分の子供と重なってしまったらしい。
よく、ベッドの中で彼の柔らかい髪を指で弄びながら、彼女は疲れて眠りに落ちたりした。
そんな彼女を見て、彼は初めて自分以外の人を守ってあげたい、と思ったのだった。
だが、そんな日々は長く続かなかった。
彼との関係を知った父が、彼女を辞めさせたのだ。
彼は生まれて初めて父に泣いてすがった。彼女をクビにしないでくれ、と。
だがやはり父が許すはずはなく、彼女との繋がりを一切絶たれてしまう。