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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
『お父様がね……彰君の為に、特別に許して下さったの……
今までのように家に来てくれていいって……』
彼女の細い声も震え、頼りなげな愛らしさを醸し出していて、いつもなら彼はそんな彼女に抱き付いてキスをするのだが、彼は冷たい目で見据えるだけだった。
彼女は、彼の反応に落胆と戸惑いで表情を曇らせる。
だが手は休めないままで、トレーの上には赤い林檎の皮が次々と落ちる。
『今まで通り……だって?』
『そうよ……今までと同じように一緒に居れるのよ』
彼の呟きに彼女は明るい声を出すが、その瞬間、彼女の手からナイフが奪われた。