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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
清崎は眉間に皺を寄せ、低い声でキツい言葉を彼に投げつける。
「何よ、直ぐに答えられないの?
あんた、女と寝る位しか取り柄がないのに、可愛いの一言も言えないの?」
「取り柄って言う訳じゃないだろ……
キッツいな――晴香……」
彼は、一瞬頬をピクリと震わせるが、直ぐにいつもの笑顔を纏った。
だが彼女の怒りは収まらない。
彼の顎を掴む指先に力を込めて、睨み付けた。
「彰、菊野さんを好きなの?」
「――」
彼は言葉を失い、瞳を大きく揺らす。
清崎は指を彼の顎から離し、激情に任せて叫びながら拳でベッドを殴り付けた。
「……そうよね、剛と引き離すつもりで菊野さんに近付いたのに、まだ何も出来てないんでしょう?
怖じけついたの?……俺に落とせない女は居ない、とか大口叩いておいて……
菊野さんに嫌われたくない、とか思っちゃってるの?
汚れまくった彰の癖に!!」