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愛しては、ならない
第39章 愛憎④
彼にその夜総てを捧げるつもりが、菊野が突然現れて、剛は菊野の方を優先したらしい。
初デートに向けて、着て行く服、髪の可愛い巻き方、良い香りのするシャンプー、セクシー過ぎない清純なお揃いの下着……
選んだり考えたりするのに散々付き合わされていた彼は内心舌打ちした。
いくら菊野の事が好きにしても、こんなにいじらしく想っている清崎をあっさりと却下する事はないじゃないか、と。
彼女は、もう死にたい気分だ、と言って泣いていた。
森本はそんな彼女を優しく抱き締めて『晴香は最高に可愛いよ』
と言ってやったのだが、それでも彼女は死ぬと言って聞かない。
純潔を賭けて剛に迫ったのに、義母に負けてしまった事が、彼女からすれば屈辱以外の何物でもなかったのだ。