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触手学園
第1章 始まった
力では敵わないと思うけど、一か八かで抵抗してみるか?


いや、無理だ。抵抗してもあまり意味は無い。
嫌でも力の差を感じてしまう。


俺は一体どうなるんだ。


結局為す術も無く扉は破かれてしまった。



恐怖からなのか、体が動かない。
俺死ぬのかな。


触手はジュルジュルジュルッと音をたて、俺
に向かって巻き付こうとした。





ざくっ!





そんな音がしたと思ったら触手の動きはピタリと止まり、先端辺りがポロリと取れた。

違う、切れたんだ。


委員長の手によって。


「笹野君、危なかったね」

包丁を持ったまま笑顔を向ける。


「ここが家庭科室じゃなかったら私も笹野君も捕まってたよ、きっと」


包丁で触手を切ったのか。

あんなに力があるのに、刃物には弱いんだな。



切られた触手はしばらく死にかけのミミズの様に暴れ、そのうち力無く廊下の窓から出ていった。


「はい、これ笹野君の分」

委員長は俺に包丁を渡してきた。
受け取った時に気付いたが、委員長は震えている。


「ありがとな。委員長」

「私は花井綾乃だよ」

困った様に笑った。

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