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セフレの彼は幼なじみ
第13章 共同戦線
 智孝もいつも通りの冷静な口調になって言った。

「現状のままだと、陸翔や絵莉花と一緒に夏祭りなどに行くのは無理でしょ。でも、ダブルデートって形なら、OKしてもらえる可能性もあるかと思ってね。もちろん、僕たちは本当に付き合おうというわけじゃないし、その面ではあの二人を騙すってことになるんだけど……他にどうすることもできないし、心苦しいけど我慢するしかない気がして」

「た、たしかに……」

 少しずつ、智孝の言っている内容と目的が把握できてきた菜那美は頷いて言う。

「ダブルデートっていう形なら、誘う口実にもってこいだね」

 うまく伝わったのが満足なのか、智孝は少しだけ表情を柔らかくして言った。

「でしょ。正直、この夏、現状のまま終わってしまうと、絵莉花への僕の想いは消さざるを得なくなるほど、切羽詰ってるんだ。たった数ヶ月前までは、『一緒の大学に行きたいなぁ』なんてのん気にひとりで思ってたんだけど、今となっては絵莉花に『どこの大学行くの?』と聞くことすらままならなくなってて。このままでは、恋の終焉は間近かなぁって思ってね」

 視線を落とす智孝。

 菜那美には智孝の気持ちが痛いほど分かった。

 驚くほどに、自分と状況が似通っているので、なおさら。




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