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セフレの彼は幼なじみ
第14章 帰り道、そして六度目
「菜那美ならそう言ってくれるよな。んで、当時の菜那美も同じようなことを言って、俺を擁護してくれた。『せっかく手伝おうとしてくれてる人に、そんな言い方はないでしょ』ってな。菜那美は当時から温厚で優しくて、人に対して厳しい態度を取ったことを俺は見たことがなかったから、びっくりしたぞ。でも、俺は泣きそうになるほど嬉しかった。泣くのはかっこ悪すぎだから、泣かなかったけどな。なんだかんだ、俺も凹んでたから、菜那美の言葉に救われたぞ。あれ以来、『いつか菜那美に、この借りは返さないとな』と思ってきたんだが、なかなか返す機会も巡ってこないな。だから、痴漢の一匹や二匹、退散させたところで、返しきれないほどの恩を、俺は菜那美から受けてるんだ。さっきも言ったけど、俺はこのことを一生忘れない。菜那美に助けられたことを。……菜那美、どうした?」

 聞きながら涙をこぼし始めた菜那美を見て、陸翔が心配そうに言葉を切った。




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