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セフレの彼は幼なじみ
第1章 約9年前、遊園地にて
「ゆっくりでいいからな。もし、後ろの人たちに、後で怒られたら、そのときは一緒に怒られてやるから」

 菜那美は言葉を発することができなかった。

 経験したことのない感情に胸を支配されて。

 陸翔の言葉が嬉しいのに、胸はどんどん苦しくなっていく。

 それは決して、これからまた襲いくるであろうお化けの登場が怖いからではないと、菜那美本人にも分かっていたが、根本原因は分かっていなかった。

 知らず知らずのうちに、温かい陸翔の手をギュッと強く握る菜那美。



 陸翔が言った。

「じゃあ、ゆっくり行くぞ」

 黙ってうなずくことしかできない菜那美。

 そして二人は暗闇の中、再び先へ進んでいった。




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