この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
刑事とJK
第99章 根城の裏で笑う者~前編~
「オレは逃げた。
だから、もう逃げねぇ」
「…」
何から?と聞きたくて、口を開こうとした瞬間に、先に言われた。
「おめぇは逃げてぇのか?」
「いいえ…逃げたくありません。
でも…」
握っていた拳に、力がこもる。
「現実を目の当たりにすると…体がそれを拒絶してしまうんです…」
「…」
「僕はそうやってずっと…逃げてました。
頭じゃ"逃げるな"って叫んでいるのに、なのに…」
「おめぇ、何のために刑事になったんだよ」
「…!!
僕は…!!」
気がつくと、拳を崩した手は斉藤の胸ぐらを掴んでいた。
しかし何にも動じない目が、震える自分を見下してくる。
「あいにく、野郎の過去話に興味なんてねぇもんでな」
バッと嘉山の手を払うと、斉藤は部屋を出た。
「…」
_________
「藤野ー」
「お、斉藤か。
何だ?」
藤野が仕事でパソコンに向かっている傍に、斉藤が近づいて来た。
その後ろには、嘉山もいる。
「すぐ済むから、いいか?」
「ああ、何の用事だ?」
「ちょっと立って、後ろ向いてくれ」
「?」
斉藤の意味のわからない頼みに、藤野は首を傾げつつも椅子から立ち上がった。
「俺、何かしたっけ?」
「いいや。
そのままでいろよ」
背中を見せる藤野の後ろで、斉藤はしゃがみ込んだ。
そして背広を少しめくり上げる。
「…何してるんだ?」
「…ケツ見てる」
「はああ!!!??」
藤野は慌てて斉藤から離れ、真っ赤な顔をさせて怒鳴り散らした。