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刑事とJK
第100章 根城の裏で笑う者~後編~



「はい、どうぞ」



僕は丁寧に、その本を彼女に渡した。



彼女は本を両手に持って、にっこりと笑ったんだ。




「詩は好きなの」




窓から差し込む太陽の光が、その笑顔をいっそう際立たせた。


言葉を失いそうになりながらも、必死に笑顔を返した。




「ありがとう」



彼女は図書室を出て行った。


僕はそれから、よく図書室で彼女と出会った。









________







「恭子」



僕が呼びかけると、本を探していた彼女は目を大きく開いた。



「み、苗字で呼んでよ…」



「いいじゃん、別に。
それより今日、一緒に帰らない?」




一瞬晴れた顔を見せたけれど、すぐにその表情は曇った。




「ううん、いい…」



「何で?」



「嘉山君に、迷惑かけちゃう」



きっと、自分が周りに疎まれていることを考えに入れた言葉だったんだと思う。



それでも、僕のことを思ってそう言ってくれたことに嬉しさを感じた。


それと同時に、優しい子なんだと改めて実感した。




そう、だから僕は…



「一緒に帰りたい」




彼女を放っておくことが出来なかった。





「…でも、家…どこ?」



「恭子の家は?」



「だから苗字で…
えっと…◯ヶ丘の辺り…」



「それなら、一緒に帰れるね」



「え?」



本当に、適当なことを言った。


僕の家は、学校から見ると逆方向だし、しかも電車に長い間揺られていなければならない距離だ。




それでも、やっぱり彼女を放っておけなかった。








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