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ここで待ってるから。
第14章 《かの子さんと里桜氏》魔王の午睡。
 夜、電車で目的地の飲み屋に行く。

 店の前に由岐が立っていた。
 癖っ毛で愛嬌のある顔。

「久しぶり。うわぁ、痛々しいな。」

 左腕のギプスを指差し、言葉とは裏腹に笑っている。

「あんまり今日は飲まないから。適当な時間に帰らせてもらうからね。」

 とりあえず、お願いされたから参加はした。
 由岐はニコニコ笑いながら、店に入る。

「悪いな。あ、あと今日の面子は俺の高校の時のサッカー部の仲間と大学の後輩。適当に相づち打って、飯でも食ってて。」

 中に入り、奥の部屋に通される。
 堀炬燵に長テーブルに。
 そこには三人ほど、先客がいた。

「おっ?待ってました!!」

 どっ、と歓声がある。何事?

「おっまたせー。みんな、紹介する。俺の彼女でーす。」

 うん?

「すっげー。綺麗な彼女じゃん。いつの間に?!」

「ありえん。由岐にこんな美人が?」

 いや、いや。
 彼女じゃないし。付き合ってないし。

 由岐の方を見ると、小さくゴメンねポーズ。

 …ないわ。

「羨ましいな。由岐は昔から、女には不自由しないよな。…っと、今の彼女の前で失礼。」

 大丈夫です。彼女ではないので。

 仕方なく、お店で一番高いお酒と料理を頼み怒りを抑える。三人は由岐と仲良いらしく、毎月のように飲み会を開いているらしい。

 まったく。昔から調子がいい。

 今日もどうせ、彼女がいるとか嘘ついて引っ込みがつかなくなったから、私をひっぱり出したんでしょうに。

 一時間もすると、由岐は飲み過ぎてその場に寝転がる。仕方なく、座布団を折り枕がわりに頭に敷く。肩にジャケットをそっとかける。

「いやー、本当に今まで付き合ってたタイプじゃないですよ。由岐はいつも、チャラチャラしてるしお人好しだし。騙されやすいし。大体が彼女から捨てられるし。」

 ただの、馬鹿みたいじゃない。
 そんなの本当の由岐じゃない。

 仕事は真剣に取り組んで、誰よりも熱く真っ直ぐな情熱でこなしていた。
 真面目で打たれ強い。

 そして、私は知ってる。

 いつだって、誰よりも優しい。

「…それでも、由岐は優しい人です。」

 周りが静かになる。

「…そうですね。由岐は、仲間思いでみんなに平等で。いつだって、優しい奴です。…水瀬さん、由岐のこと頼みしたよ。」

 友人達は由岐を眺め、ニッコリ笑う。
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