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ここで待ってるから。
第14章 《かの子さんと里桜氏》魔王の午睡。
初めてラブホに足を踏み入れる。
大きなベッドに、淡いピンクの壁。やたら、豪華な照明。
そして、ちょっとビックリしたのは中が丸見えのシャワールーム。
「あのさ。」
由岐は下を向きながら、照れたように話す。
「無理矢理とか嫌だから、聞くけど。俺とじゃあ、ダメ?セックス、できない?」
「…由岐の事は好きだけど、そう言うことはできない。」
そんな事を私に聞きながらも、由岐は私の手を引きベッドに押し倒す。
由岐の髪が、頬をくすぐる。
そっと触れると柔らかく、手触りが良かった。
「…誰か他に好きな人、いる?」
好きな人。
私…。
「私、親が決めた結婚相手がいるの。」
昔から、ずっと側にいてくれた人。
「ずっと、親が勝手に決めた事だと思ってた。でも、でも違った。」
当たり前すぎて、何とも思わなかった。
「…私、やっぱり無理。」
由岐は身体をずらして、私を覗きこむ。
「俺、俺だったら水瀬にそんな顔させないよ?」
どんな顔をしているんだろう。
「どんな、顔?」
「…寂しそうな顔。」
父の決めた結婚。
父が決めた相手。
父の願い。
違う。
そんなの、理由にならない。言い訳にもならない。
ただ、純粋な気持ちがそこにあった。
なんで、この気持ちを隠していたの?
わざと、目をそらしていたの?
ねぇ、里桜。
私、里桜のことが。
「…ごめんね。由岐。私、由岐の気持ちには答えてあげられない。この先も…これからも。」
由岐は優しいから。
由岐をまるごと好きになってくれる人が必ず現れるから…。
「ん、そっか。」
私から離れ、仰向けに寝転がる。
柔らかい照明が、ゆっくりと揺らめく。
「俺、水瀬とはじめて会ったときから好きだった。入社式の時、隣の席で凛とした姿に一目惚れだった。でも、他の男の誘いとか絶対受けないし。隙がなかったよな。」
天井は鏡張りで、二人を映す。
「今までだって、今日だって身体の関係を持てば、好きになってくれると思ったけど…。」
寂しそうな顔をしてるのは、由岐の方だ。
手を頬に添える。
温かい頬。由岐は目を閉じる。
由岐を男として、好きになれたらよかった。
私は…。
里桜が大好き。
「そっか。…なんだ、ちゃんと好きな人いるんだね。」
大きなベッドに、淡いピンクの壁。やたら、豪華な照明。
そして、ちょっとビックリしたのは中が丸見えのシャワールーム。
「あのさ。」
由岐は下を向きながら、照れたように話す。
「無理矢理とか嫌だから、聞くけど。俺とじゃあ、ダメ?セックス、できない?」
「…由岐の事は好きだけど、そう言うことはできない。」
そんな事を私に聞きながらも、由岐は私の手を引きベッドに押し倒す。
由岐の髪が、頬をくすぐる。
そっと触れると柔らかく、手触りが良かった。
「…誰か他に好きな人、いる?」
好きな人。
私…。
「私、親が決めた結婚相手がいるの。」
昔から、ずっと側にいてくれた人。
「ずっと、親が勝手に決めた事だと思ってた。でも、でも違った。」
当たり前すぎて、何とも思わなかった。
「…私、やっぱり無理。」
由岐は身体をずらして、私を覗きこむ。
「俺、俺だったら水瀬にそんな顔させないよ?」
どんな顔をしているんだろう。
「どんな、顔?」
「…寂しそうな顔。」
父の決めた結婚。
父が決めた相手。
父の願い。
違う。
そんなの、理由にならない。言い訳にもならない。
ただ、純粋な気持ちがそこにあった。
なんで、この気持ちを隠していたの?
わざと、目をそらしていたの?
ねぇ、里桜。
私、里桜のことが。
「…ごめんね。由岐。私、由岐の気持ちには答えてあげられない。この先も…これからも。」
由岐は優しいから。
由岐をまるごと好きになってくれる人が必ず現れるから…。
「ん、そっか。」
私から離れ、仰向けに寝転がる。
柔らかい照明が、ゆっくりと揺らめく。
「俺、水瀬とはじめて会ったときから好きだった。入社式の時、隣の席で凛とした姿に一目惚れだった。でも、他の男の誘いとか絶対受けないし。隙がなかったよな。」
天井は鏡張りで、二人を映す。
「今までだって、今日だって身体の関係を持てば、好きになってくれると思ったけど…。」
寂しそうな顔をしてるのは、由岐の方だ。
手を頬に添える。
温かい頬。由岐は目を閉じる。
由岐を男として、好きになれたらよかった。
私は…。
里桜が大好き。
「そっか。…なんだ、ちゃんと好きな人いるんだね。」