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ここで待ってるから。
第14章 《かの子さんと里桜氏》魔王の午睡。
〈里桜の領分〉


 深夜零時過ぎても、連絡が無い。
 メールも着信も。

 いい加減、大人なのだから保護者のように気にすることもない。
 親の決めたことに、反抗する意味もないし、従う理由もない。

 かの子が誰を好きになろうが、誰に愛されようが。

 そんな風に割りきった気持ちになったはずなのに。どこか、いつも心は晴れずモヤモヤと常に雲がかかっている。

『もし、かの子が二十五歳までに君以外の大切な人が現れたら、結婚はなかったことにしてもらえないか?』

 かの子の父親からの申し出に、今まで束縛された呪いが解けた。

 誰もが自由。

 はじめてかの子と会ったのは、僕が十歳。かの子が二歳。
 薔薇色の頬にくりっとした瞳が愛らしい子だった。

 勉強もスポーツも、かの子の為に頑張った。この小さなお姫さまを守るために。

 小学生、中学生と成長するかの子に、僕はいつしか恋をした。

 婚約者なのだから、いつかは結婚して家庭を作るのはわかっていたが、二十五歳までに好きな人が出来なかったらの話だ。

 誰かを愛し、愛されるならそれは幸せだと思う。

 心とは裏腹に、寂しさが募る。


 結局、明け方まで寝れずかの子からの連絡を待っていた。

 今頃、男に抱かれているのだろうか?

 かの子を誰にも渡したくなくて、かの子に僕を覚えてほしくて身体を弄ぶ。そうすれば、決して自分から離れないだろうなどと思っていた。

 なんて、浅はかな。

 早くに告白していれば、こんな苦しくせつない想いをしなくて済んだのに。


 朝帰りをして来たかの子は、もう僕は必用ない。もう、彼女には支えとなる他の男がいる。

 お互い、もう自由になったんだよ。


 莉音に任せて一週間、故郷に帰った。

 父は相変わらず忙しく、母は笑顔で迎え入れてくれた。

「長い間、ごめんなさい。貴方にも莉音にも、私の我が儘に付き合わせてしまって。」

 母は静かに笑う。

「遠い昔の約束はもう、おしまい。これからは、貴方の、彼女の幸せを願うわ。ねぇ、里桜。彼女は幸せ?」

 かの子は幸せ?

 …いや、幸せのはずがない。

 かの子の幸せは、僕が側にいないと意味がない。
 帰ろう。そして、僕の気持ちをかの子に伝えよう。

 僕はとっくの昔から、君に恋をしていたんだから。

〈かの子さんと里桜氏〉おしまい。
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