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ここで待ってるから。
第18章 サクラサク。②
 お兄ちゃんの言い方に、少しムッとする。

 お兄ちゃんからしたら、そりゃ子供ですよ。橙子さんみたいに女の色気とか、私には皆無ですよ。

 それでも、私は一番お兄ちゃんを好き。

「…子供じゃない…。」

 アイスの事なんか忘れて、側に寄っていたお兄ちゃんの唇に軽くキスをする。

 それは、甘く柔らかい唇に触れる程度のキスを。

 時間が止まってしまったように、身体が動かない。

 はじめてのキスに胸が痛くなるほどの激しい鼓動。

 段々と歯止めが効かなくなる。
 唇だけではなく、うっすらと口を開け舌を差し出す。

 お兄ちゃんは少しだけ身体を揺らしたけど、すんなり舌を受け入れてくれる。
 温かい口腔に、舌を探り絡ませる。
 尽きることなく、入れ替わり唇を貪る。

 それは、甘くまるで麻薬の様に。

 不意に身体をつかまれ、現実に戻される。

「…っ、胡桃。」

 手にまた、溶けたアイスが落ちる。

「…早く食べてしまいなさい。」

「…はい。」

 魔法が解けたかのように、周りの空気も音も時間が動き出す。

 まともに、お兄ちゃんの顔が見れずアイスに集中する。

 なんで、あんなキスをしたんだろう。




 明日帰る荷物の確認をする。

 新幹線のチケット。
 レポートにタブレット。
 充電器。
 化粧品。
 着替え、その他もろもろ。

 あとは、今着ているパジャマを明日の朝入れたら完璧かな。

 観光から帰り、外で夕飯も済ませて帰宅する。
 
「明日、午後見送りに行くから。二時の新幹線でいいんだね?」

 お兄ちゃんもパソコンに向かい、少しだけ仕事をしている。

「え?いいよ。大丈夫。もう、子供じゃないし。」

「…まだまだ、子供だよ。」

 パソコンから顔を上げ、側に置いてある淹れたてのコーヒーを飲む。その横顔が素敵でうっとりとみとれる。

 やっぱり、お兄ちゃんは格好いい。

 いろんな人から告白されたりするんだろうな。
 そうしたら、離れて暮らす私なんか放っておいて美人とデートしたり、あんな事したり、こんな事したり…。

 別に私が知らないところでヤってるならいい。
 でも、この部屋に私以外の女が来て、お兄ちゃんとベッドでそんな事されてたら…辛いな。

 手を伸ばしたら、すぐ側にいるのに。
 また、会えない時間が増えていく。

「お兄ちゃん…。」
 
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