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ここで待ってるから。
第19章 サクラサク。③
 小雪さんと二人で夕飯をとり、食後に紅茶を淹れる。

 茶葉をポットに淹れ、ゆっくりと蒸す。

「そうだ、話したい事があるって言ったけど。急なんだけど明後日の土曜日、夜あいてる?」

 小雪さんは手作りのパウンドケーキを切り分けながら、私に聞いてくる。

「えっと、空いてますよ。」

「良かった。じつわ、私と友達でホテルのディナーを予約してたんだけど友達が都合悪くなって行けなくなってしまったの。で、もしよかったら私と一緒に行ってくれない?」

「え、私でいいんですか?」

「うん。それと、ほら次の月曜日は沙矢子ちゃんの誕生日だから、プレゼントを兼ねて。ね?お願い。」

 ホテルは普段ではなかなか行かないような、高級な有名所。
 内容はホテルにある、庭園の桜の木の下のディナーだという。
 かなり、魅力的。

「その友達も急なキャンセルだからって、二人分の料金払ってくれるって言ってたし。ねぇ、沙矢子ちゃん。」

「わかりました。是非、一緒に。」

「良かった。楽しみだな。」

 小雪さんは嬉しそうに笑う。
 こういうところが、可愛らしい。

 羨ましい。

 やっぱり、もうちょっと素直になろうかな。

「総一朗から連絡はあるの?」

 小雪さんがカップに紅茶を注ぎ、砂糖とミルクを用意する。

「今日、帰りに電話あったけど。それも、五日ぶりくらいかな。」

「ったく。昔からそうなんだけど、手に入れたものはそれで満足するのか、自分のモノだと安心するのかそのままの状態にしちゃうのよね。それで、浮気されたり、何度も振られるの。そんな繰り返し。」

 あまり、総一朗君は自分の事を話さない。
 
 そうか…うん。なんか、わかる。

「でも、決して自分が悪いと思わないし相手も責めない。以外と涼しい顔して、隠れ俺様なのよね。」

 小雪さんは、少しだけ真面目な顔になり私をみつめる。いつになく、真剣でちょっと驚く。

「それでもあの子は、沙矢子ちゃんの事、真剣だからね。それは、わかってあげてね。仕事は特殊だけど、誇りをもってやってるし。私達では与えられないものを沙矢子ちゃんが、与えて守ってね。」

 目を閉じ、クスッと笑う。

「これだから、過保護すぎ。とか、子離れしろって言われるんだよね…。まぁ、母親の気持ち?」

「それなら、姉の気持ち位でどうですか?」

 二人でクスクス笑い合う。
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