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ここで待ってるから。
第21章 サクラサク。⑤
〈かの子の領分〉


「社長、北野先生から連絡来たので明日原稿取りに行きます。」

 帰り支度の中、莉音が報告に来る。
 時間はもう、二十時過ぎている。

「え、明日は土曜日だけど。」

「北野先生の指示だから。あ、明日は特に用事もないし大丈夫。」

「そう?じゃあ、任せるわ。」

「ねえ、かの子。お兄ちゃんとは上手くいってるの?」

 莉音の兄、里桜の事を聞かれギクッとする。
 上手くいってる?…それは、何だろう。うん、今までと何一つ変わらない。上手くいっている、と言えばいっている。

 でも、表面上はいいけれど…。

「どうしたの?」

「え?ううん。大丈夫。」

 莉音の携帯が鳴る。

「…もしもし。あ、はい月野です。えっと…。」

 スキンシップは前以上に激しくなったし、里桜とそういう関係になってキスも多くなったけど…。

 あれから、何もない。

 何もない、と言うのはつまり、二回目のエッチをしていない。

 愛の言葉も、甘いキスも、熱い抱擁もくれるのに。夜は抱きしめて眠るだけ。

 それって、いったいどんな関係?

 恋人か?家族か?友達?…やっぱり、ずっと一緒に過ごしてきたから兄妹にしか思えないのかな…。

 私はどうなんだろう。

 私は、里桜にとって必要な女だと思われたい。

 でも、それはどうしたら伝わるのかな。


「…でね、かの子。聞いてる?」

 物思いにふけていた私を莉音の声が現実に引き戻す。

「えっ!あ、えっと、何?」

「…佐々先生が、明日、以前依頼していた資料が欲しいから届けて欲しいって。でも、私明日は北野先生の所に行かないと。」

「佐々先生…ああ、じゃあ私が明日届けるから。」

 莉音からUSBを受けとる。

「かの子。何か悩みがあるなら聞くからね。」

「…うん。ありがとう。」

 
 ありがたいんだけど、里桜の妹に相談なんかできない。

 恥ずかしいのもあるけど、もういい大人がそんな事でモヤモヤしているのがどうかと思う。

 世の中の女性は、もっと上手に恋愛の駆け引きなんかしてるんだろうな。


 マンションの自宅にすると、里桜がリビングで誰かと話をしている。

「ただい…ま。」

 あまり聞き取れないが、仕事の話しかな?

 邪魔をしないように、静かに近寄る。


「…僕も早く会いたいよ。うん。…うん、愛してるよ。」
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