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ここで待ってるから。
第21章 サクラサク。⑤
 里桜の交遊関係ははっきり言って、知らない。

 仕事以外でも、よく出掛けたりするから友人は少なくはないと思う。

 でも、そんな台詞、友人には言わないでしょう。

 好きな人がいるならいるって、言ってくれたらいいのに。
 里桜こそ、義務で一緒にいなくたっていいのに。

 リビングを抜け、自分の部屋に入る。

 ベッドに鞄を投げつけ、ジャケットを脱ぎ捨てる。

 誰にでもあんな、甘い言葉をかけれるんだ。まあ、里桜ならやりかねない。

 コンコン。

 ドアが開き、里桜が入ってくる。

「おかえり。いつ、帰ってきたの?」

「…今。」

 小さな嘘を付く。

「夕飯は?用意してあるけど、食べる?」

「うん。もう少ししたら、行くね。」

「そう。じゃあ、準備しておくからちゃんとおいで。」

 本当はこのまま眠ってしまいたい。
 でも、ご飯に罪はない。

 重い腰を上げて、リビングに向かう。

「かの子、明日一緒に出掛けないかい?」

 鍋の火を調節しながら、里桜が声をかける。
 椅子に腰掛け、里桜を見る。

「桜がもう散りはじめてるんだ。まだ、見に行ってないから。」

 毎年、父がいた頃は桜を見に近くの公園に行っていた。
 私と父と里桜とで。
 
「…あ、明日は佐々先生の所に行かなきゃいけないの。」

「佐々。佐々孝明先生?」

「そう。揃えた資料をわたさないといけないから。」

「佐々先生の所に一人で行くつもり?」

「それは、仕事だから行くけど…何か問題でも?」

 佐々先生は土地の民話、神話を研究している大学の教授で今、ある地方の民話を新しい解釈で研究している。

「あの先生は油断ならない。独身男性の一人暮らし宅に、かの子を行かせるなんて出来ないな。」

 はい?

「あ、あのね。そんな状況、今までに沢山ありまさしたけど?それに、佐々先生はそんな変なことする人じゃありません!」

 貴方と違ってね!

「そんな事、わからないだろう?」

 珍しく里桜がイライラしている。

「君は男って生き物をまったく知らない。」

「…わ、悪かったわね。知らなくて。でも、そんな風にしたのは、里桜じゃないの。」
 
 勢いよく席を立ち、部屋に戻る。

 そんな事、言いたかった訳じゃない。

 恋に臆病だったのは、自分のせいなのに。
 
 ベッドに潜り、喧嘩したことを後悔する。
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