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ここで待ってるから。
第22章 あの頃の君へ。②
「で、何か悩みがあるんだろう?」

 私はビールに涼介はウィスキーのロック。

「…来月、大嫌いな男が本社に帰ってくるの。」

「俺の前に付き合っていた男?」

「ううん。ちょっと複雑な…。涼介には話してなかったから。」

「話して楽になるなら、聞いてやろうか。」




 三年前。

 私がこの企画部に配属になる前、営業部にいた頃の話し。

 大学卒業して、三年目。
 あの人と出会って、恋をした。

「境さん。とりあえず、明後日回る店舗の備品手配しておきました。足りない細かい備品は、明日私が用意します。」

 境光流(さかいみつる)。
 三歳年上で、営業成績はいつもトップ。回りからも、後輩からも慕われていた。

 二人だけの残業に、緊張しながらも忙しさに意識はしないでいれたのに。
 優しく接してくる、境さんにどんどん惹かれていく。

「ありがとう。波村はよく気が利くな。」

「境さんと同じようにしてるだけです。」

 私は境さんを尊敬していた。

 そして、いつの間にか尊敬から思慕にかわっていった。

「波村、今日夕飯一緒に行かないかい?もう、遅いし。」

 確かに、もう二十一時前。
 今から帰っても、何も作る気が起きない。

「そうですね。じゃあ、境さんのおごりで?」

「あはは。了解。いいよ。」

 笑顔になると、えくぼができる。
 年上だけど、童顔で可愛い。


 仕事を切り上げ、境さんの車に乗り行きつけの店に行く。私のマンションとは逆の方向に少しだけ不安になる。
 
「ちゃんと、送るから安心して。」

 境さんは時々、不思議な感じがする。人の気持ちとか察するのが上手。
 私が言わなくても、気がついてくれる。

 きっと、周りの人から慕われるのは気が利く人だからね。

 大きな通りのレストランに入る。

「ここのピザが大好きなんだ。ちゃんと石窯で焼くんだよ。」

 窓際の席に案内され、ピザやサラダを注文する。

 料理が来るまで、お互いの色々な話をした。

 境さんは四人姉弟の末っ子。

 甥や姪が沢山いて、年始が毎年怖いこと。

 実家は海沿いの遠い県。

「沢山、お姉さんがいるんですね。」

「三人も女がいると、かなり喧しいよ。男は俺と親父だけだから、肩身が狭いこと狭いこと。」

「私は一人っ子だから羨ましい。」

 はにかむ表情がとても素敵だった。
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