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ここで待ってるから。
第22章 あの頃の君へ。②
「え?誰と付き合ってるって?」

 沙矢子にはちゃんと話しておかないと、と思い告白する。

 お昼、食堂の端を陣取りヒソヒソと話を始める。

「…境さん。」

「ふーん。」

 少しだけ考えて、ちょっと困った顔をする。

「橙子。私、ちゃんと友達だよね?」

「な、なにを急に。」

「…親友だと思ってるから、言うけど…。あんまり、企画部では評判よくないよ。境さん。」

「え?」

「…聞いた話では、営業先のデパートの販売員と付き合ったり、取引先の業者の人妻にも手を出したり。それだけならいいんだけど、それが二股だとか。子供を落ろさせた…とか。」

 そんな風には見えないし、そんな話しは聞いたことがない。

 あくまで、噂でしょう。

「まさか。」

「…あくまで噂だけど、そんな噂何かないと立たないものよ?」

 それでも…。







 金曜日、仕事が終わり境さんの自宅に向かう。

 広いマンションの一室。
 最上階から見える夜景に、うっとりする。

「波村は料理できるんだ。」

 キッチンを借りて、おつまみ程度の料理をする。

「境さんは、料理するんですか?」

「俺はしないな。もっぱら作ってもらう方、かな。」

 玉ねぎの皮を剥きながら、冷静に考える。

 ん?それって、現在進行形?

「あ、別に今ってわけじゃないからね。」

 境さんは私の後ろに立ち、背後から抱き締める。優しく腕をまわされ、首筋に唇を落とす。

 温かい吐息と息づかいが、耳を擽る。

「…波村。」

「…名前で、呼んで。」

「ん…。橙子…。」

 耳元で名前を呼ばれる。

 その声があまりにも、セクシーで背中や腰の辺りがゾクゾクさせる。

 包丁と玉ねぎをまな板に置き、振り返る。

 熱く潤んだ瞳に吸い込まれるように、自然と唇を重ねる。
 境さんの頬に触れ、もっと奥深く欲しいとねだる。

 抱擁の先に、ただ二人の欲望が重なりあう。



 あの噂、本当だろうか。沙矢子が言っていた噂。

 頭を過りながらも、境さんが私を求めることに拒めないでいる。

 境さんの声に、仕草に、私の理性は既に飛んでいた。例え、噂が本当だとしても今は私だけを見ていてくれる。

「橙子…。好きだよ。」

 身体が目的であったとしても…。

 私を好きだと言ってくれるのなら…。

 それでも、かまわない。
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