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ここで待ってるから。
第23章 あの頃の君へ。②。おまけ。
 涼介と別れて、自宅マンションに帰る。

 玄関を入り、リビングに向かうと夏がソファで寝ていた。少しだけ窓が開いていて、カーテンが風を孕んでいる。

 私の気配に、夏が目を覚ます。

「夏、ただいま。」

「ん…おかえり。あ、今何時?」

「十一時過ぎ。」

 あくびをして背伸びをする。

「今日、誰と飲んでたの?沙矢子さん?」

 夏はテレビをつけて、スポーツニュースに回す。野球の試合の結果と選手のインタビューが流れる。

「え、あー。うん。沙矢子とね。」

 あれ、私涼介と会うって言わなかったっけ?
 まぁ、いいか。

「ふーん。」

 夏はカチャカチャ、チャンネルを回す。

「夏、もうシャワー入って寝るからね。」

「…駄目。」

「え?」

「そこで、服脱いでください。」

 一瞬耳を疑う。何を言い出すんだか。

「…夏?」

 夏は静かに、私を見つめる。

「…さっき、沙矢子さんうちに来たんですよ。彼氏から北海道のお土産もらったけど、なまものだからって届けに来てくれたんですよ。」

 う、嘘。なんで?…わざとだ。絶対、わざとだ。

「美味しかったなー。海老とイクラ。」

 くっ、私の大好きなモノばかりだし。

「…深山さんと飲みに行ってたみたいですね。最初から言ってくれてたらよかったのに。」

 自分の失態にガッカリする。

 墓穴掘った…。

「ほら、俺は優しいですよ。橙子さんが誰と会おうと、飲みに行こうと何も心配しないです。でも…。」

 夏がキッ、と睨む。

「嘘はついたら駄目です。…ほら、早く服脱いでください。」

 うわぁ、かなり怒ってる。

「…リビングのあかり、消していい?」

「駄目です。」

 仕方なく戸惑いながら、ブラウスのボタンを外す。タイトスカートのファスナーを下ろし、スカートも足元に落とす。

 ブラウスを脱いで、キャミソールとブラ、ショーツ姿で立ち尽くす。

 窓から入ってくる風が肌を撫でる。

「キャミとブラも。」

 部屋のあかりに恥ずかしさを感じながらも、夏の言葉に従う。

 ショーツ姿になり、胸元をおもわず手で隠す。

「隠したら駄目ですよ。」

 夏は立ち上がり、私の背後に立つ。

「じゃあ、橙子さん。ここ、自分で弄って。」

 耳元で小さく囁く。

「えっ?む、無理…。いや…。」

「駄目。ちゃんと、俺に見せて。」
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