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ここで待ってるから。
第4章 本当の気持ち。
 仕事が終わり、帰宅の準備をしていると沙矢子が声をかけてきた。

「橙子、今日飲みに行かない?」

 沙矢子から毎週金曜日、お誘いが来る。それは二人だけだったり、同僚とだったり、時には合コンだったり。

「うん。二人だけ?」

「二人だけ。いや、いやあなたの事を色々聞きたいわけよ。ふふん。」

 あー、夏の事を聞きたいんだ。

「ふふん…って。」



 行きつけの居酒屋に酔っ払い女二人。

「でもさ、やっちゃうなんて…あるんだ。」

 沙矢子はにスルメを齧りながらチューハイを飲む。私は生ビールとサラダを突く。

「ストレートに言わないでよ。まぁ、ちょっとした流れってヤツ?」

「…写メないの?写メ。」

「ない、ない。」

「てか、呼び出しなさいよ。説教よ説教。彼氏がいる女とねるんじゃないっつーの。イトコとやるんじゃないっつーの。」

 沙矢子は管を巻き、私のケータイを奪う。

「ちょっと、ちょっと!!」

 酔っ払いの馬鹿力で阻止され、勝手に着信履歴やメールを読み出す。

「えっとー、夏だっけ?夏、夏と。あった。かけちゃうよー。」

 勝手にアドレスから探し出し、電話をかける。
 確か向こうは歓迎会とか言ってなかったかな?
 ヤキモキしながら、沙矢子を見守る。

「…出ないし…。あっ!!」

 どうやら、夏が出たみたいで慌てて私にケータイを渡す。
 最後まで出来ないなら、かけないでほしいわ…。

「もしもし、夏君?」
 
『あれ、橙子さん。どうしたの?』

 向こうも居酒屋にいるようで、周りが騒がしい。
 沙矢子を見ると、呼出せアピールがうざい。

「今、何処?あの、もし歓迎会終わりなら私達と合流しない?」

『あ、いいんですか?丁度、お開きになるところで。あれ?橙子さんは誰と飲んでるんですか?』

 話の途中で、またもやケータイを奪われる。

「グダグダ言ってないで、こっち来なさいよ!!説教してあげるから。」

 うわぁ、酔っ払い女。

 かなりの早口で、最寄り駅と店の場所を伝える。わからなかったらケータイで調べろ!!とか、言っちゃってます。
 
「…橙子…。」

 無理やり夏を呼び出し、興奮状態だった沙矢子が通話を切った後、静かになる。

「…気持ち悪い。」

 まったく、この女は…。
 仕方なく共通の知り合いの、沙矢子の彼氏に連絡をとる。







 
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