この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ここで待ってるから。
第25章 そうだ、温泉に行こう。〈花海棠と鳳仙花〉
「…もう、大丈夫です。何かあったらすぐに連絡しますので。」

 女将と中居さんと背の高い女性は安心し、持ち場に戻る。

 夏に支えられゆっくり立ち上がり、部屋に向かう。

「沙矢子、総一朗君ありがとう。先に休むね。」

「うん。おやすみ。」

 

 フロント前を通り、部屋に戻る。

 その間、夏は無言で手を引いてくれている。

「…夏?」

「…ごめんなさい。」

「?何?」

 それから、部屋に戻るまで二人は無言のまま。

 なんで謝るんだろう。

 さっきのは私がのぼせたからであって、夏のせいじゃないし。

 部屋に入り、早々にベッドに横になる。

 あ、浴衣沙矢子が着付けてくれたのかな。あとでもう一度、メールしておこう。

 夏が私の横に座る。

 チラッと顔を見ると、夏が悲しそうな顔をしている。

「…どうしたの?」

 手を夏の太腿に乗せ、少しだけさする。

「…深山さん。」

「えっ?」

 夏の口から意外な人の名前が出て、動揺する。

「…知ってたんだ。風呂にいたの。」

 み、見られてたのかな?

「俺と倉城さんと露天風呂に行ったら、深山さんがいたんです。ここの女将さんの息子だって…。それと、色々あって…橙子さんを試すような事になってしまったんです。」

「試す?」

「…深山さんが、もし橙子さんを誘惑して乗ってきたら…もう、離さないって。愛人でも、セフレでも鎖で繋いで自分の物にするって。」

 はぁ。

「…自信満々に言われて。カッ、となって…じゃあ、試してみればいいだろっ…って。俺、橙子さんの事…信じてるし、絶対に俺から離れないってわかってるのに。悔しくて。情けなくて。」

 夏の身体が震えている。

「…やり取りは、聞いてかなったけどお風呂場から橙子さん助けたの、深山さんなんです。橙子さんと別れたあと、凄い音したから見に行ったら、頭から潜ってたみたいで。」

 結局、全裸で助けられてたか…。

 夏や涼介に試された事より、全裸だったのが悲しい。

「沙矢子さんがフロントで騒いでいたのを聞いて、先に駆けつけて倉城さんが色々やってくれて…。」

 総一朗君にもさらされたか…。

「…夏、もういいから。」

「…ん。」

「怒ってないから、こっち向いて。」

 夏はせつない顔をして、私を見ている。

「もう、答えはわかってるんでしょう?」
 
/205ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ