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ここで待ってるから。
第25章 そうだ、温泉に行こう。〈花海棠と鳳仙花〉
「…もう、大丈夫です。何かあったらすぐに連絡しますので。」
女将と中居さんと背の高い女性は安心し、持ち場に戻る。
夏に支えられゆっくり立ち上がり、部屋に向かう。
「沙矢子、総一朗君ありがとう。先に休むね。」
「うん。おやすみ。」
フロント前を通り、部屋に戻る。
その間、夏は無言で手を引いてくれている。
「…夏?」
「…ごめんなさい。」
「?何?」
それから、部屋に戻るまで二人は無言のまま。
なんで謝るんだろう。
さっきのは私がのぼせたからであって、夏のせいじゃないし。
部屋に入り、早々にベッドに横になる。
あ、浴衣沙矢子が着付けてくれたのかな。あとでもう一度、メールしておこう。
夏が私の横に座る。
チラッと顔を見ると、夏が悲しそうな顔をしている。
「…どうしたの?」
手を夏の太腿に乗せ、少しだけさする。
「…深山さん。」
「えっ?」
夏の口から意外な人の名前が出て、動揺する。
「…知ってたんだ。風呂にいたの。」
み、見られてたのかな?
「俺と倉城さんと露天風呂に行ったら、深山さんがいたんです。ここの女将さんの息子だって…。それと、色々あって…橙子さんを試すような事になってしまったんです。」
「試す?」
「…深山さんが、もし橙子さんを誘惑して乗ってきたら…もう、離さないって。愛人でも、セフレでも鎖で繋いで自分の物にするって。」
はぁ。
「…自信満々に言われて。カッ、となって…じゃあ、試してみればいいだろっ…って。俺、橙子さんの事…信じてるし、絶対に俺から離れないってわかってるのに。悔しくて。情けなくて。」
夏の身体が震えている。
「…やり取りは、聞いてかなったけどお風呂場から橙子さん助けたの、深山さんなんです。橙子さんと別れたあと、凄い音したから見に行ったら、頭から潜ってたみたいで。」
結局、全裸で助けられてたか…。
夏や涼介に試された事より、全裸だったのが悲しい。
「沙矢子さんがフロントで騒いでいたのを聞いて、先に駆けつけて倉城さんが色々やってくれて…。」
総一朗君にもさらされたか…。
「…夏、もういいから。」
「…ん。」
「怒ってないから、こっち向いて。」
夏はせつない顔をして、私を見ている。
「もう、答えはわかってるんでしょう?」
女将と中居さんと背の高い女性は安心し、持ち場に戻る。
夏に支えられゆっくり立ち上がり、部屋に向かう。
「沙矢子、総一朗君ありがとう。先に休むね。」
「うん。おやすみ。」
フロント前を通り、部屋に戻る。
その間、夏は無言で手を引いてくれている。
「…夏?」
「…ごめんなさい。」
「?何?」
それから、部屋に戻るまで二人は無言のまま。
なんで謝るんだろう。
さっきのは私がのぼせたからであって、夏のせいじゃないし。
部屋に入り、早々にベッドに横になる。
あ、浴衣沙矢子が着付けてくれたのかな。あとでもう一度、メールしておこう。
夏が私の横に座る。
チラッと顔を見ると、夏が悲しそうな顔をしている。
「…どうしたの?」
手を夏の太腿に乗せ、少しだけさする。
「…深山さん。」
「えっ?」
夏の口から意外な人の名前が出て、動揺する。
「…知ってたんだ。風呂にいたの。」
み、見られてたのかな?
「俺と倉城さんと露天風呂に行ったら、深山さんがいたんです。ここの女将さんの息子だって…。それと、色々あって…橙子さんを試すような事になってしまったんです。」
「試す?」
「…深山さんが、もし橙子さんを誘惑して乗ってきたら…もう、離さないって。愛人でも、セフレでも鎖で繋いで自分の物にするって。」
はぁ。
「…自信満々に言われて。カッ、となって…じゃあ、試してみればいいだろっ…って。俺、橙子さんの事…信じてるし、絶対に俺から離れないってわかってるのに。悔しくて。情けなくて。」
夏の身体が震えている。
「…やり取りは、聞いてかなったけどお風呂場から橙子さん助けたの、深山さんなんです。橙子さんと別れたあと、凄い音したから見に行ったら、頭から潜ってたみたいで。」
結局、全裸で助けられてたか…。
夏や涼介に試された事より、全裸だったのが悲しい。
「沙矢子さんがフロントで騒いでいたのを聞いて、先に駆けつけて倉城さんが色々やってくれて…。」
総一朗君にもさらされたか…。
「…夏、もういいから。」
「…ん。」
「怒ってないから、こっち向いて。」
夏はせつない顔をして、私を見ている。
「もう、答えはわかってるんでしょう?」