この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ここで待ってるから。
第26章 そうだ、温泉に行こう。〈山茶花〉
 婚約したとは言え、それはまずくないか?

 それに、まだお互いなにも知らない。だいたい、二人きりで出掛けたりしたことがない。
 今まで会ったのだって、専務の家で結納の話し。結婚式の日取り。会場決め…。まだ、三~四回くらいしか会っていない。

 それをいきなり、同じ部屋に二人きりは良くないだろう。

 自分は経験のある女や店の女の扱いは慣れてるが、まだ二十歳そこそこの若い女はあまり付き合った事がない。

 そう、あのドタキャン見合いのその場で仕切り直され、長女から次女にチェンジ。

 源藤真昼。二十歳の学生だと言う。

 まあ、最初はどちらかと言う話だったから特に問題は無いのだが…。

「ま、どうせ結婚するんだろうし。今時の娘なら、する事済ませてるだろうしね。」

 今時の娘なら、ね。

 真昼は今時の娘…ではない。

「あら、涼介。来てたのね。」

 事務所に母が入ってくる。相変わらず、若く美しい。そんな事を言葉にしたら、また姉にマザコン呼ばわりされるな。

「今、着いた所。」

「お夕飯、どうする?」

「真昼さんが着いてから、軽くなにかもらうかもしれない。とりあえず、部屋に行ってるから。」

 荷物を持ち、離れの「山茶花」の間に向かう。

 三日前。

 ニューヨークへの出張が決まり、一ヶ月間日本を離れることになった。

 真昼に長期出張になるから母に会いに行くと話すと、自分も行きたいと言いだす。日程も押していたので入っていた予定を変更出来ず、現地集合になってしまった。

 離れに入り、ベッドに横になる。

 目を閉じ、今後の事を考える。

 このまま、真昼と結婚しても良いのだろうか。父親に敷かれたレールを走らず、今まで自分で決めた道を進んできた。

 まったく違う業種で、一から這い上がろうとしている。あの男を、父親を見返すために。

 なのに、蓋を開ければ父親と同じような事をしている。

 あちこちに女を作り、くだらない欲望を吐き出すためにセックスをする。

 そこに、愛なんかなかった。

 愛なんか、必要ない。愛なんか不要な不確かな、感情はいらない。

 そう思って生きてきた。

 そんな自分に、彼女を幸せに出来るのだろうか。父親に傷つけられた母のようにしてしまうのではないだろうか。

 何度も自問自答する。

 繰り返し、愛について考える。

 
 
/205ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ