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ここで待ってるから。
第27章 螺旋の迷路。
 夏は電車でも、買い物でも黙ったまま手をつないでいた。

 時々、強く握りしめられたり指を絡めてきたり。

 夏の横顔が寂しく見えた。



 マンションに着き、玄関に入る。

「とりあえず、ご飯作るから。先にシャワー浴びて…。」

 リビングに入るなり、背後から夏が私を抱き締める。

 夏の唇が首筋を擽る。

「な、夏?」

「…。」

 ただ黙り込む。

 夏の手が、荒々しく服の上から乳房を揉みしだく。

「…んっ…夏、やだ…。」

 手を振りほどこうとしても、体格差に負ける。

 ブラウスもスカートもたくしあげられ、ブラの隙間から乳首を摘ままれる。
 ショーツも下げられ、指が恥部をさ迷う。

 いつもより、激しく求められる事に軽く興奮する。

 夏も息を荒げ、耳朶や首筋を甘噛みする。

「…夏…。」
 
 壁に追い詰められ、お互い向き合う。

 両手首を持たれ、頭の上で壁に押し付けられる。痛みの中に、優しい刺激が身体を震わせる。

 吸い込まれるようにみつめられ、唇を寄せる。

「…いつもなら、今までならあんな出来事、スルーできてた。」

 唇を離し、夏は呟く。

 そっと、顔を覗くと苦しそうな表情をしている。

「橙子さんとはじめて会った時だって、彼氏がいても平気だった。」

 押し付けられた手が解放される。

「…橙子さんが、深山さんより俺を選んでくれた事が嬉しかった。大事にしたい…大切にしたいと思いながら、その気持ちがだんだん重くなってる。」

 私は小さく頭を振る。

「そんな事ない。」

「橙子さんの過去に嫉妬してる。馬鹿みたい。もう、過ぎたことに嫉妬するなんて馬鹿だよ…。」

「…夏。」

「帰りに会った人も昔の彼氏なんでしょう?」

 夏に触れようと手を伸ばす。

 指先で夏の頬になぞる。

「…嫉妬なんかして、橙子さんに重い奴なんて思われたくない。もっと、冷静にならなきゃって思えば思うほど苦しいよ。」

 私は、何て声をかければいい?

 重いだなんて思わない。

 私だって夏の事が好き。好きすぎて、自分でもおかしいくらい。

 でも、夏が私の過去にこだわる限り夏はずっと苦しんでしまう。

 きちんと、私の中の過去と向き合うしかないのかな。石黒との別離に私が納得しないと、私と夏はいつまでも抜け出せない迷路をさ迷うだけなのね…。


 
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