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ここで待ってるから。
第27章 螺旋の迷路。
 夏はそのまま、シャワーを浴びに風呂場に行く。

 私は買い物してきた食材を冷蔵庫に放り込む。

 ポケットに押し込んだ石黒の名刺を取り出す。番号は二年前と変わっていない。

 あの時、いったい何が二人を引き離したんだろうか。

 それは、必要な別れだったのだろうか。

 悩んでも仕方ない。

 夕飯の支度をしながら、意を決する。

 私がこんなに、グダグダ悩んでるからいけないんだ。私の心がちゃんと夏に向いてるなら、夏の想いだって正面から受け止められる。

 今は私が悩みすぎて、考えすぎ。

 石黒に話を聞いてみよう。

 夏は、ちゃんと待っててくれるかな。



「橙子さん、夕飯いらない。ちょっと、頭冷やしてくる。」

 シャワーを浴びて上がってきた夏は、ラフな服に着替える。

「…うん。」

 夏を送り出し、一人の部屋に静寂が訪れる。

 ソファに座り、目を閉じる。

「…電話、してみようかな。」

 携帯からもらった名刺の番号にかける。

 暫くコールが続く。

『…もしもし。』

「あ、えっと…石黒さん?私です。波村です。橙子です。」

『以外と早かったね。…彼氏と一緒じゃないの?電話してて平気なのか?』

「大丈夫。」

『…そうか。ずいぶん、若い男だったが年下かな?』

「うん。六歳下。」

 携帯の向こうで石黒が笑う。

『そうか。なんだ、橙子は年下が好きなのか。そうか…。』

「…そんな話がしたい訳じゃないんだけど。…二年前の事を蒸し返すのは嫌だけど、私には解決しないといけない事があるの。…単刀直入に聞くけど、当時、小暮真理子とはどんな関係だったの?」

 少し間が空き、石黒は言葉を選びながら話しはじめる。

『…小暮真理子とは君と合う前に、一度だけ関係を持ったことがあったんだ。ただ、そこには愛や好意は無くて、まぁ流れで。君とも、早く言えば身体だけの関係だったが自分の中ではとても大切な存在になっていたよ。』

 私も石黒の好意は感じていた。

 でも、傷つくのなら恋愛感情はいらないと思っていた。

『俺と橙子の関係を妬んでいたようで、周りにも俺にもあることないこと吹き込んでいったよ。君にも、俺の悪口を聞かされていなかったかな?』

「貴方が私の事を、つまらない女…。浮気をしても泣きもしない、すがりもしない可愛いげのない女…だって言ってた…って。」
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